2019/03/04 11:23
古来より、その美しく白い光沢のある色は純潔・無垢の象徴であり、魔除けや厄除けに使われていた銀。
紀元前のメソポタミアや古代エジプトでは、自然銀の産出量の少なさや抽出の難しさから金より貴重な金属とされており、中には金製品に銀めっきをかけたものが存在するほどでした。
その神秘的な輝きのため、銀は月と結びつけて考えられ、神話の中ではしばしば月の女神として登場します。
エジプト神話では、愛と美と幸運の女神ハトホルは月の女神と呼ばれ、エジプト人は神々の骨は銀で肉体は金で出来ていると考えたそうです。ギリシャ神話の狩猟と貞潔の女神アルテミスもまた、銀の戦車に乗って夜空を駆け、銀の弓で銀の矢を放つ月の女神とされました。
その他にもローマー神話の女神ディアーナやルナもそれぞれ月の女神として、弓張月(三日月)を銀の象徴としたそうです。
またヨーロッパでは新月に銀貨をポケットに入れておくと幸運が2倍になるといい伝えられ、その魔除けの力から魔女などと闘う時には銀製の武器がもっとも効果的であると信じられていました。
実際、銀は殺菌力が強く井戸に入れておくと伝染病の発生を防ぐことが 古代から知られていました。
また化学反応に敏感なため、洋の東西を問わず毒の検出に使われ、古くから使われていた硫ヒ鉄鉱という毒砂に含まれるヒ素に反応し黒ずむため、ヨーロッパの貴族では銀食器が好まれました。銀食器は何も装飾だけのためではなかったようです。
中世では、肉を切り分けるときにクレテンザ(信用)と呼ばれる銀製ナイフで切り、刃が変色しないことで毒が入っていないことを証明するのがマナーだったそうですが、今日レストランでローストビーフを切り分けてくれるのも、このクレテンザの名残だと言われています。
古今東西で呪術的な力や超自然的な力が信じられてきた銀。
日本では古来から五色の金(黄金=金、白金=銀、赤金=銅、黒金=鉄、青金=鉛)の一つ、白金(しろがね、もしくはしろかね)と呼ばれ珍重されました。
金属の中で最も熱や電気の伝導性が良く、手の中に納めるとじわじわ温かくなる。
そんな不思議な銀(しろかね)に魅せられて、パリのアトリエをその名にあやかりShirokane Koboと名付けました。
(shirokane)
(shirokane)